手掌多汗症

1)手掌多汗症について

 発汗を分類すると、暑さに対する体温調節を目的とした『温熱性発汗』、精神的緊張による『精神性発汗』、食事摂取時の『味覚性発汗』の3種類に分類されます。
 その中で甲状腺機能亢進症等の基礎疾患が無いにも関わらず気温・湿度と無関係に手掌・足裏・腋下に限局した精神性発汗を多汗症と称しています。
 多汗症の方々の多くは幼少時から発症し、思春期に一旦増悪して40歳以降から徐々に症状が軽減する傾向にありますが中年以降も強い症状が続く方もいらっしゃいます。
 多汗症の原因としては遺伝的素因や自律神経の調節障害等が考えられていますが、発症機序は完全に解明されておらず、詳細は未だ不明です。

2)治療は?

 手掌多汗症の治療として抗コリン剤内服、塩化アルミニウム外用療法、水道水イオントフォレーシス、A型ボツリヌス毒素局注療法等が皮膚科や美容外科で行われて来ました。しかしそういった治療を行っても効果が不十分で手汗の症状に悩まれておられる方々もいらっしゃいます。そういう方々に対して当院では『胸腔鏡下交感神経遮断術』を治療方の一つとして提案させて頂いております。
 これは全身麻酔下で胸腔カメラを用い胸腔内にある手の発汗を調節している胸部交感神経(T3)を超音波メスで切離するという外科治療です。手術は両側胸部に5 ㎜程度の操作口を各々2か所、計4か所作成して行います。
 手術時間は約1時間30分で、入院期間は1泊2日です。手術翌々日から創部痛も軽くなり日常生活に制限も無く職場復帰可能です。術創部については抜糸不要で術後1 年程度で傷跡もほとんど目立たなくなります。
 個人差がありますが手・脇の発汗量は術前に比較して10~30 %程度にまで減少される方々が多いです。また随伴効果として顔の発汗量が30 ~50 %程度にまで減少される方もいらっしゃいます。

3)手術の副作用は?

 手術により手汗が減った分、体幹と大腿部の発汗が増えるという『代償性発汗』が起こります。代償性発汗が起こる範囲や程度には個人差があり、ほとんどの方は軽度の代償性発汗で済みますが発汗がひどくて困っていると云う方も10%前後いらっしゃいますので手術適応については患者さんやその御家族とよく相談し、慎重に決めさせて頂いております。
 また18歳未満の方は身体の成長に伴い、症状が自然軽快される方が多いので抗コリン剤内服や塩化アルミニウム外用療法を最初に提案させて頂いております。

4)手術後アンケート

 2010年4月9日~2016年1月13日までに行った85例の胸腔鏡下交感神経切離術について術後アンケートを行いました。(85例中 返答79例 アンケート回収率92%)

代償性発汗の頻度:困っていない(18%)+あまり困っていない(46%)=64%

代償性発汗を踏まえた術後満足度:とても満足(86%)+やや満足(8%)=94%


との結果でした。比較的良好な手術満足度と考えておりますが代償性発汗で困っている方が9%いらっしゃる事から 今後はより一層の手術適応の適正化と手技の改良が必要であろうと考えております。

以上 手掌多汗症について述べさせて頂きました。手汗がひどく日常生活に不便を感じていられる方、様々な治療方法を試してみたけれど効果が芳しくなく御困りの事がいらっしゃいましたらどうぞ遠慮なく当院 手掌多汗症外来(外科外来)へ御来院下さい。

2017年 4月  南部病院 外科  新垣 義人

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